映画「ゆるキャン△」を見に行ったら刺さりまくった【感想・ネタバレ有】

ゆるキャン△の映画のネタバレのほかに、シン・エヴァンゲリオンとヴァイオレット・エヴァーガーデンのネタバレも含みます。

端的に言うなら、想像していたよりもすごく良かったし、ブルーレイとか出たら買って手元に置いておいて、見直したいと思いました。

そう思った点について、自分で振り返るためにも考察していきます。

1.温泉のシーンの会話が刺さった

キャンプ場づくりが軌道に乗りそうなときにそれがいきなり頓挫して、5人がそれぞれに不完全燃焼を抱えて、日常に戻りましたよね。このとき、なでしこがリンを誘って、八ヶ岳の野天風呂に行きました。ここの二人の会話が自分の中でクライマックスでした。ほんとは一言一句覚えておきたかったけど、見ているときはここがピークだと思ってませんでした。

ニュアンスで覚えてる範囲ですが、私たちのやってきたことってなんだろうね」みたいな会話をしていて、「楽しいと思ったことを人に伝えて、その楽しさがやがてまた別の人に伝播することなんだと思うよ」みたいな会話をしていました

趣味って一人でも十分楽しいけど、誰かと共有できるのはもっと楽しいよなと思っていたのを、上手に言語化してもらえたような気持ちがして、ここ最近感じていたモヤモヤに対するカタルシスを感じました。

また、「大人になったらなんでも出来ると思ってたけど、実はそうじゃなかった」って感じの話もしていて、この気づきは新卒〜社会人3年目くらいにはとても響くんじゃないかと思って聞いてました。

映画自体はちゃんとハッピーエンドで終わりましたが、個人的には野天風呂のシーンの会話が示唆に富んでいたので、ハッピーエンドにならないビターな大人向けの終わり方もちょっと期待しながら見ていました。

2.ヴァイオレット・エヴァーガーデンっぽいシーンが刺さった

これは感覚的なので、一概には言えないですが、ちょっと似てるなというシーンがありました。

りんと千明がタクシーで、高下行った場面です。着いたのは夜でしたがそこから夜が明けて、朝日に照らされてぼうぼうの草が一気に明るくなる描写とかの光のまぶしさがまず似てるなと感じました。

あと5人全員で草を刈る時の管弦楽?の音楽のリズミカルさも似てるなと思いました。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンも非常に好きな作品なので、嬉しかったです。

3.シン・エヴァンゲリオンっぽさが刺さった

シン・エヴァンゲリオンの終わり方を個人的には、「モラトリアムとの決別」とか「折り合い」とかだと捉えていて、ゆるキャン△の映画もそういうテーマなのかなと思って見ていました。

前情報としては、メンバーが社会人になっているらしいということだけ知っていました。アニメをリアタイしてた時は、キャラクターも自分も学生だったのに、映画を見に行ったらキャラクターも自分も社会人になっています。働いているし、お酒も飲めるようになっているってところが時の移ろいを感じざるを得ませんでした。

4.設定がちょうどいいところを突いていた

前提知識の多寡があるので、ツッコミどころ満載だなと思った人も当然いると思いますが、最低限の時代考証的なことはできてるのかなと思いました。

例えば、5人とも地元就職することもないけど、5人とも都会に出ていってるわけでもないって設定とか、とてもリアルです。千明がイベント会社を退職して、県庁で地域創生?的な仕事をやってる設定とかも現実みあります。

もちろん、社会人になって昔の友達で集まって休日に無償でキャンプ場を作るということに関してはさすがに現実的ではないなと思いました。でも、キャンプ場を作るって大学生で流行りがちな東南アジアで学校建てるのとベクトルは似てるのかなと思うと、これもその延長線上にあるといえなくもない?と考え直しました。

5.伏線回収が上手だと思った

いろんな伏線を張って上手に回収してると思いました。例えばペッパーくんを動物(タヌキ)が出てきたときに使ったり、あおいの勤めてる小学校が廃校になったから校庭のグラウンドのタイヤをキャンプ場に再利用したりとか。学校の統合による廃校は時代に即しすぎてて軽く鳥肌でした。

エンディングに関しても、『最初の場所は無理だったけど、別の場所が偶然見つかって急ごしらえのキャンプ場が作れたよ、やったね!』的な取ってつけたハッピーエンドじゃなくてきちんと練られてると感じました。

史跡とキャンプ場を融合させるという日本中のどこかではきっとあるだろうなってアイデアが、時勢を反映しててすごいと思いましたし、その案を実現するために県庁内でプレゼンしたりとかもこれくらいはきっとやるよなと思ってみてました。

6.キャンプ場づくりが暗礁に乗り上げた時の心情描写がよかった

特にあおいがこたつに入ってスマホの写真眺めるシーンが一番よくできてたと思います。目的が達成できた時の完全燃焼からくる心地よい虚脱感じゃなくて、不完全燃焼に終わったモヤモヤが伝わってきてよかったです。現実の世界ってこんなとこあるよなって共感できました。

あと、りんが先輩に仕事面でカバーしてもらってたことを聞いてしまうシーンとかもリアルでした。

ここで恵那だけは、ニコイチになれなかったから、ちくわの散歩シーンが2回出てきたのはクスってなっちゃいましたが…。堤防を右から左に行って、左から右に行ってって描写だけで少しかわいそうでした。他の4人に関しては、野天風呂行ったり、閉校式があったりしたのに…。

7.ストーリーとかを知ってる前提で作ってくれていた

映画化するときに、初見さんを大事にするのも、原作や深夜アニメからの人を大事にするのもどちらもわかります。そのうえで、原作や深夜アニメからの人を大事にしてくれたと感じました。

例えば、キャラクターとか前提となるようなストーリーの説明は、省いたら初見殺しになりますが、逆に厚めに説明すると、ある程度知ってる側にとっては冗長でシラケた感じになります。最後のリトルカブのネタとかはそうですよね。

映画化に際して、分かりやすさ狙いで単純にカレー作るとかもないし、北欧のハーブ?入れるとサッパリするという情報提供とかも、原作の方向性を踏襲していて非常によかったです。

おまけ

あとは、刺さる要素の考察ではなくて、個人的な感想です。

個人的に言いたい突っ込みポイント

・名古屋から高下までタクシー行くってクレイジーすぎるし、やっぱタクシー代えぐいことなるよな

・コロナのない世界線なんだな

・りんのお爺さんが、バイクのメンテナンス場とかで話題に出てくる割に最後まで登場しなくて、亡くなった設定なのかと思ってしまった

・千明の課長さんが途中から槇原敬之にしか見えなくなった

・りんの先輩はどう見ても宇宙兄弟のむったなんよな、まあいい上司だったけど

・最後は失速感あった、看板設置忘れる下りは必要だったんだろうか

・鳥かごから星空をみれるのはよかった、最初は上に登れるようにするのかと思ったけど。ただ耐震性とかは大丈夫なのか?

内容とは関係なかったポイント

・予告も終わって本編に入って、親子連れが右側に入ってきて、ジュースを入れたラックを落としてぶちまけてておいおい〜ってなった。あとでみたら、足元3席分くらいジュースで水浸しやったし、下の席にも行ってた。途中でカルピスの甘い匂い漂ってきて、シリアス要素のある映画だったら、戦犯ものだったな

・左側は30代くらいの夫婦だったが、その片方が、エンディングらへんで鼻水すすりだして泣いてるのか…?となった

・右はジュースの池、左は涙でしばらく身動き取れなかった

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